■あらすじ■

イスタンブール。次元は古くからの友人であるイギリス貴族の
ウェザー公爵とビリヤードを楽しんでいた。
そこへ“トルコの虹の冠”を盗み出して逃走していたルパンが
偶然通りかかる。そのルパンを見てウェザー公は一言。
「そんな物で大喜びするとはルパン三世も評判倒れですな」
侮辱されカチンときたルパンは、ウェザー公の持ち馬である
レッドアローを盗んでみせると宣戦布告した。

レッドアロー号は飛行機でドーバー海峡を渡り、イギリス本国
で開催されるグランドナショナルレースに参加することになっ
ていた。
ルパンたちはその輸送途中にウェザー公の飛行機に潜入し、
レッドアローを盗み出す。
そして空へパラシュートでダイブ！海に着陸してしてやったり
と喜んだ。
ところが、着水したところ、レッドアローの赤毛がいつの間に
やら白毛に。ウェザー公の仕業だ。
ルパンが盗むことを見越して、ニセモノの馬に赤いペンキを塗
っていたのだ。

イギリス本国に戻り、狩りを楽しむウェザー公のもとに再びル
パンが現れた。ルパンが地面に埋めた強力な磁石に馬の蹄鉄が
くっついてしまい、ウェザー公は身動きが取れなくなってしま
う。
ところが、ウェザー公は余裕綽々の様子。なぜならこの森林一
帯はウェザー公の私有地。ただちに警備隊が駆けつけ、ルパン
は網に巻かれて宙吊りに。
そのルパンに、ウェザー公はまるで狩りを楽しむように銃口を
向ける。ルパンのすぐそばを銃弾がかすめる。
やがてその内の一発がルパンの肩に命中した。
プライドを踏みにじられ怒りに燃えたルパンは、不敵に笑う
ウェザー公をにらみつけると、グランドレースの最中に必ず
レッドアローを盗んでみせると言い放つ。
そして救出にやってきた次元のジープに飛び込むと、ルパンは
危ういところで危機を逃れるのだった。

いよいよナショナルグランドレースが始まった。
客席にはウェザー公の姿も。
だがレース中にレッドアローを盗み出すことなど到底不可能と
踏んだウェザー公は余裕の笑み。
そして、ゲートは開かれた！
レッドアローは他の馬をおさえて独走。大観衆が沸く中、２位
と２０馬身以上の差をつけて最後の大障害へ向かう。
その時だった。「今だ！ルパン！」ＴＶ放送者の仲の次元が
叫ぶ。
次の瞬間、大障害の中に隠れていたルパンがレバーを倒した。
土煙の中、大障害が開き、それを飛び越えようとしたレッドア
ローは障害の中に引き込まれてしまった。
土煙がおさまった時には、レッドアローは消えていた。
騒然となるスタジアム。ウェザー公も顔面蒼白。

こうしてルパンは見事レッドアローを手に入れた。・・・が。
大食いのレッドアローの世話にはホトホトうんざり。
エサをやりすぎた結果、昔の勇姿はどこへやら。銭形が見つけ
たときにはもはや走ることもままならない巨大な牛だかブタだ
か分からないような有様になってしまっていた。
そして呆然とする銭形にレッドアローを譲ると、ルパンは颯爽
と逃げていくのだった。



■見どころ■

ポイント１：次元にあんな友人がいたとは・・・
　　貴族（しかも男）と知り合いという事実が、少し意外な気も
　　する。一体どういう接点があったのだろうか。

ポイント２：捕らわれのルパン
　　網の中で窮屈そうに体を折り曲げてる姿がいい。
　　特にあの長い脚。
　　銃弾を受けてちょっと本気になるルパン。
　　「必ず盗んでやるぜ」と言いつつ怒った顔をストレートに
　　見せない、あの口元の笑みがイイ。

ポイント３：今回の絵
　　見事レッドアローを盗んだはいいが、エサをやりすぎて･･･
　　草むらでボーッとレースを眺める３人の無気力っぷりが情け
　　ない（笑）
　　あの後、とっつぁんが連れ戻したレッドアローを見てウェザ
　　ー公がどんな顔をしたか、想像するだけでも楽しい。



■データ■

<放送日>
　1980年7月7日放送
<スタッフ>
　脚本／大久保昌一良
　絵コンテ／石黒昇
　演出／石黒昇
　作画監督／北原健雄、朝倉隆
<キャスト>
　阪脩、緑川稔、長堀芳夫、山本敏之、小滝進、叶年央



■プチ用語■

馬
　ルパンが馬を盗むのは８話「ベネチア超特急」以来で２度目。
朝倉隆
　シリーズ終盤の朝倉隆作監のエピソードは、キャラクタの外
　見にテレコム（あるいは大塚ルパン）風味が入っている。
　この話のウェザー公の風貌もカリオストロ公爵によく似てい
　るため、この前後の朝倉隆作監の話をテレコム担当回と勘違
　いしているファンも多いらしい。
　シリーズ終盤はテレコム担当回も多く、画に関して全体的に
　テレコム色が強くなっている。
不二子の衣装
　グランドナショナルレースを観戦する不二子の衣装は、
　「マイ・フェア・レディ」のオードリー・ヘップバーン風。