Review & Memo


新ルパン三世
125話 『オイルダラーの大陰謀』
 




■あらすじ■

TVで映画を見ていたルパンのもとに不二子から「助けて」と電話
がかかる。
イララン国の“ホメサンの王冠”を手に入れなければ殺されてしま
うという。急ぎ不二子のもとへと飛ぶルパンたち。

イラランにつくやいなや、ルパンらは王冠が展示されている国立美
術館に潜入する。王冠は濃硫酸の噴水の頂上に祭られていた。
ルパンらは、濃硫酸の噴水に水酸化ナトリウムを放流して中和させ
ると難なく王冠を盗みだす。

ところが、車で逃走しようと美術館を出たとたん―――

まばゆいサーチライトにてらされたルパン。
だがそれは警察ではなかった。
「ご成功おめでとうございます、ルパン様」
なぜか大歓迎されるルパンたち。呆気に取られているところへ登場
したのは、イララン国の指導者、ギアーナ姫だ。
ギアーナはルパンを国賓として迎えると言い出す。
ルパンたちはワケも分からずただただ呆然。
実はギアーナは以前からルパンのファンで、ルパンと結婚したがっ
ていたらしい。
不二子を使って王冠を盗ませたのは、国民にルパンの有能さを知ら
しめるためだったのだ。しかしギアーナは見るところまだ幼い少女
である。結婚と言われても・・・

しかしギアーナには待てない事情があった。不治の病におかされ、
余命いくばくもないのだという話を家臣のカシムから聞いたルパン
は、それならばとギアーナの結婚の話を受けることに。
さっそくタキシードに着替えてギアーナに会いに行くルパンだが、
病状が悪化したギアーナはベッドの上で苦しそうに喘いでいる。
ギアーナは自分の命がもう長くないことを知っていた。
必死に励ますルパンに、ギアーナは最後に一つだけ頼みを聞いて欲
しいと頼み出る。
その願いとは、イララン国に雪を降らすこと。一度でいいから本物
の雪を見てみたいというのだ。
ルパンは必ず雪を降らせてみせると約束すると部屋を出て行く。
だがここは砂漠地帯。どうやって雪など降らせられよう。
紙ふぶきを雪に見立てて散らしてみたり、窓の外にスクリーンを置
いて雪の降る映像を流してみたりと、四苦八苦。
だがそのたびに本物でないことがバレてしまい、ギアーナの病状は
悪化する一方。

そこへ秘密組織スパイダーのアジトにスノー・カノンという雪を降
らせる兵器があるという情報が入ってくる。ルパンたちは、決死の
覚悟でスパイダーのアジトに潜入すると見事スノー・カノンを奪っ
て戻ってきた。
そしてとうとうイララン国に雪が!!!
だが時すでに遅く、ギアーナは雪を見ることなく息を引き取ってし
まっていた。
深い悲しみとともにルパンはイララン国を後にした。

ところが数日後、TVを見ていたルパンたちの前に映し出されたの
はギアーナ姫!?実はギアーナは生きていたのだ。
イララン国は砂漠緑化計画を進めていて、そのために大量の水が必
要だった。そこでルパンに好きなときに雪を降らせることのできる
スノー・カノンを盗ませたのだ。
全ては不二子とギアーナの仕組んだ芝居だったというわけだ。
カクンと脱力するルパン。そんなルパンを知ってか知らずか、今日
もギアーナは雪の中を歌い踊るのだった。
「雪やコンコ、あられやコンコ・・・♪」


■見どころ■ ポイント1:コスチューム   料理には必ずエプロンをするルパン、次元、五右ヱ門。   こういうきちんと形から入るところがさり気なく料理にもこだ   わる男(できる男)という感じで憧れてしまう。   それにしても、シリーズを通していろいろな種類のエプロンが   登場するが、やはり全部自分でデザインを選んで買ったのだろ   うか・・・   ちなみにこの回、ルパンのタキシード姿も拝めてオイシイ。   ルパンは何を着ても似合うが、特にこういう正装は似合いすぎ   ていてドキドキしてしまう。 ポイント2:アイディア   あれやこれやと雪を降らそうと苦戦するルパン。   それにしても紙切れを飛ばすって。   ・・・子供じゃないんだから(苦笑) ポイント3:こういうのもアリ   雪を降らせる『スノウカノン』を盗むことになったルパン。   と、今回のルパンは強行突破で盗みだす。   作戦も凝った手法もなし。とにかく自滅覚悟で突っ込んで奪え   といった具合。   これはちょっと意外だが、一刻の猶予もないという状況で仕方   がなかったということらしい。 ポイント4:絵参照(↑)   ギアーナ姫の死を見て、黙って宮殿を出て行くルパン。   このシーンが文句なしにいい。あからさまに哀しむでもなく、   惜しむでもなく、   まっすぐ正面をにらみつけるルパンがいい。深い影がいい。   飛行機の中でも部屋でもセリフは一切なし。   運命をうらんでいるのか、何もしてやれなかった自分をうらん   でいるのか、寡黙なルパンの目を見るだけで一気に想像が広が   る。全体的に「押せ押せ」の賑やかな雰囲気で進行してきただ   けに、この終盤に見せるルパンの真面目な表情はより一層際立   って見える。   何度も言うように、語り過ぎない男こそカッコイイ。   また、これだけシリアスなシーンを見せられた後だからか、一   転してハッピーエンドという展開は気持ちいい。   ガクーンと可哀想なくらい脱力するルパンも、気のせいか緊張   が解けて苦笑が混じっているように思えるし、ルパンの気持ち   も知らず やんちゃに喜ぶギアーナ姫も楽しそうに笑う不二子   も、見ていて不思議と腹が立たない。   完全にギアーナ姫の無邪気さの勝利。   目立った派手さや奇抜さはないが、好きな回。
■データ■ <放送日>  1980年3月3日放送 <スタッフ>  脚本/杉村のぼる  絵コンテ/石原泰三  演出/三家本泰美  作画監督/北原健雄、児玉兼嗣 <キャスト>  山田栄子、宮内幸平、常泉忠通、高石有子、笹岡繁蔵、長堀芳夫
■プチ用語■ 『哀愁』  冒頭ルパンがTVで熱心に見ていた映画。『哀愁』の主演はロバ  ート・テーラーとヴィヴィアン・リー。そこでかかってきた電話  をとったルパンは「はい、こちらロバート・テーラー。」  47話でもルパンは  「ウォータールー・ブリッジ。なんかいいよな。映画『哀愁』の  舞台だ」と言っている。 ギアーナ姫  ギアーナ姫を演じたのは『アニメ三銃士』のアラミス役、『キャ  プテン翼(第1期)』の岬太郎役などで知られる山田栄子。  この前年の『赤毛のアン』でデビューしたばかりだった。 レッド・スパイダー  初期デザイン段階では、スパイダーのイブタイピンは片目のキャ  ラクタで、ルックスも旧ル風に描かれていた。


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