■あらすじ■

ニューヨーク・ブロードウェイ。ルパンはバッキンガムという男
から変装用チューインガムを購入する。膨らましてパチンと弾け
ると、ガムが顔に貼りついて自由自在に変装に変装できるという
品物だ。二人は商談が終わるとその足でガスパーが経営する酒場
にやってきた。
そこでアモーレという踊り子が踊っているのを見つける。
ところがアモーレはガスパーの愛人で、彼女にウィンク一つでも
送ろうものならガスパーの拳銃が火を噴くという。
そんなことはお構いなしなルパンは投げキッスに花束まで贈り、
ついには二人で踊り出す始末。
もちろんガスパーは大激怒。マシンガンに戦車に潜水艦にジェッ
ト機に・・・
とアメリカ陸海空軍をバックにつけてルパンを追い詰める。
何でも軍幹部にミュージカルのＡ席券を送って味方につけたのだ
とか。
そこに現れたのが銭形。銭形の警告で何とかその場はいったん引
き下がることにしたガスパー。

翌日、ルパンはガスパーの酒場に呼び出される。
しかしガスパーは決闘を言い渡すどころか、アモーレと結婚する
ように懇願してきたではないか。
突然手のひらを返したような申し出にとまどうルパン。
しかしアモーレはルパンに一目惚れしたと言って離れようとしな
い。終いには結婚しなければ自殺するとまで言う始末。
現れた銭形に必死に「逮捕してくれ」とパトカーに乗り込むや、
ルパンは大慌てで逃げ出した。

銭形からガスパーは名うての結婚詐欺師だという話を聞いたルパ
ンは、件のできごとはガスパーとアモーレが仕組んだものだと気
付く。
アモーレは結婚してルパンの財産を奪うつもりだったのだ。
そうと分かればルパンにも考えがある。はっと気付いた時にはル
パンはどこへやら、銭形の手錠は空っぽ。
ルパンはアモーレのもとに戻っていくと、結婚することにする。
さて、結婚式当日。式場にはお祝いの人々が集まり盛大に式が行
われていた。
これであとはルパンを消すだけ、とガスパーとアモーレは大喜び。
ルパンが計画に気付いたとわかるや、ガスパー率いるギャングが
ルパンに襲い掛かる。そこへ次元と五右ヱ門が登場。
ギャングの銃口にチューインガムを投げ込んで反撃開始。
引き金を引く度にチューインガムが弾けてギャングは壊滅。
かくして構想１０年、出演者のべ１０人、制作費１０円の一大戦
争スペクタクルはこれにて完。



■見どころ■

ポイント：『構想十年、出演者延べ１０人、制作費１０円』
　踊り子（アモーレ）と踊っただけでアメリカ陸軍が！何でアメリ
　カ海軍が！アメリカ空軍が！
　「ワシの知ってるパン屋で店員を探していたっけ、やってみる
　　か？」とはとっつぁんのセリフ。パン屋のルパン―――
　　それってもしかして洒落か！
　いや待て、その前に不二子〜！何で入れ歯なんて持ち歩いてる
　んだ！終いにはストリップし始める不二子（バッキンガムの変
　装）！！？

　・・・と、ストーリーはしっちゃかめっちゃかなノリで一気に駆
　け巡る。そもそも「チューインガム変装作戦」と題打つものの、
　肝心のストーリーにチューインガムの変装はそこまで重要な役を
　果たしているわけでもない。
　このどこまでもチープでスラップスティックなノリ（俗に言う
　ブロードウェイシリーズ）は、いい意味で新ルならでは。
　ちなみに「戦車怖くて赤い背広が着れるか」は赤いきつねの
　ＣＭから。これは私も聞き覚えがあるなぁ（笑）



■データ■

<放送日>
　1980年1月7日放送
<スタッフ>
　脚本／浦沢義雄
　絵コンテ／青木悠三
　演出／御厨恭輔
　作画監督／北原健雄、朝倉隆
<キャスト>
　肝付兼太、沢田和子、雨森雅司、立壁和也、小関一、峰恵研



■プチ用語■

ルパンの結婚式
　この回で、またしてもルパンは結婚式を挙げている。相手は
　踊り子のアモーレ
「戦車が怖くて、赤い背広が着れるか！」
　インスタントうどん『赤いきつね』のＣＭから。オリジナルの
　セリフは「戦車が怖くて、赤いきつねが食えるか！」。